ソルト(2010)観た

ネタバレ含むので注意。

 

CIAのこの女、いったい何重スパイなんだ……って感じの映画。

めちゃくちゃ面白かったんだけど割と前提から設定が難しかったのでうまく飲み込めるまで時間がかかった。「ロシアから派遣されたスパイが」「いつか来るXデーのために」「CIAに長いこと潜り込んで」「その主目的はアメリカの崩壊(米国を孤立させた世界大戦の勃発)で」「任務はロシア大統領の暗殺」って複雑すぎる。

女スパイものの映画にありがちなお色気シーンが全くなくて、ただただ訓練を受けた兵士としてのアンジェリーナ・ジョリーが見られてとても満足した。鼻血だらっだらで目腫らしてガソリン飲まされてた。ガンアクションも最高だった。あと男装よかったな……。

個人的に、こういうクールなキャラクターに人間味を持たせるための「こんな冷酷な人にも大切な存在がいる」系のエピソードは相当うまくやらないと白けちゃうタイプなんだけど、この作品ではその塩梅が実にちょうどいいなあと思った。マイクが殺されたことに対する感情の噴出にラグがあるのもいい。オルロフ殺害の様子はとても感情的で彼女らしくないから、思わず力が入ってしまった、という演出になっている。ウインター殺害に対しても同じように思った、彼も仇だもんなあ。
ところで、いぬ、どうなったんだろ……しあわせに暮らしてほしい……。

ウインターについては序盤はずっと「変な挙動だな、もしかしたら仲間かも?」と思っていたけど全然尻尾を見せないので違うんだな~と受け止めてた。最後ホワイトハウスの地下で突然銃乱射し始めた時も何か正当な考えがあってのことかと一瞬混乱したくらい。
ウインターも(以前まではソルトも)、いったいどういう思想教育を受けたらこうなってしまうんだろう。しかもCIAに入るほどの秀才に育つなんて……。

社会的人間の優劣と、そのイデオロギーの繋がりを感じた。深い信念を持ってすればどんな汚い手でも使うしのし上がるために泥水も啜る、という……。思想教育のほうでは、恐怖が大きければ大きいほど「大義」がそれを覆い隠して自らの「使命」にさせられちゃうのかもなあ……。例えば死の恐怖でさえも。シュナイダーの自爆シーンからそんなことをつらつら考えながら観ていた。

久々に映画観たけどおもしろかったな~、観てよかった。