SING/シング: ネクストステージ(2021)観た

ネタバレあるので注意。

 

 

公開されてからずいぶん経つので、いい席で観ることができた。前作がかなり好きなので正直期待しないで観ようと思っていたが、これがどっこいめちゃくちゃ良かった。久しぶりにブログを更新しようと思うくらいには。

 

前作が主人公及びメイン演者の個人的な苦悩を舞台上で昇華する物語だったのに対し、今作は主に「表現者としての才能 (あるいは才能のある表現者)」に重点を置いている印象があった(それから「関係性」も)。もちろんエンタメとしての土台が大きいので決して芸術的な視点ではないけども、少なからず私はその点にまつわる演出で心が揺れた。

現場にポーシャが乱入して、ロジータの代わりに高所から飛び降りて歌い始めたとき、胸をわしづかみにされた思いがした。金持ちの娘で、若くてかわいくて度胸があって、才能もある。この世の全てを持っている存在として描かれていて、なんて残酷な演出なんだ……と思った。のちに歌以外の演技はてんでだめ、ということがわかるのだけれど、この時点ではロジータに諦観を与える役割として配置されていて、それが本当に苦しかった。シナリオに深みを与えるすげえ良いシーンだと思った。

クレイ・キャロウェイの家にアッシュが滞在するシーンも、すごく胸が締め付けられたな……。「憧れの人には会わないほうがいいって本当だね」って台詞がキツかった。同じような経験があるから。あと、アッシュがどれくらいクレイ・キャロウェイのファンなのかの説明をうまいこと省いてるな~と思った。本人が横に座ると、弾き語りがぎこちなくなるんだよね。本当に憧れてるんだなあって……思い返したら泣けてきた……。

最後のショーでポーシャがエイリアン役を華々しく演じているのを見て、(設定を含めた)キャラクターデザインがうますぎるだろと思った。禍根を残さない演出。

でも社長は確かに殺人未遂でお縄につくべきだけどさ、自分のホテルの劇場占拠されてることに関しては怒ってもいいよね……?制作費も全額出資してるだろうし、娘の出演の件以外は自由につくらせてくれたし(納期はヤバいけど)、完全なヒールではないからあの邪魔者扱いは若干疑問だった。まあ殺人未遂はアカンか……。

 

その他好きなとこ。

序盤のナナがムーンを励ますシーン、すごくよかった。一旦は去ったナナが様子見にちょっと覗くのがまた……。ナナめちゃくちゃいいひとになってる。

ユーモアもよかった、ふわふわコアラ、モップ掛け、振付師に出番を盗られた可哀想な豹……。

バスの中で稽古するところも好き!

ストリートダンサーの猫の女の子めちゃかわいかった、もうちょっと深堀りしてほしかったナ~

ロジータが自分の夢のためじゃなくムーンの命を救うためなら飛び降りられる、ってのが良い……ロジータ人間性(豚性?)が出てるなあ。

クローリーがマスコット然としていてよかった。現場監督するシーンとかエンドロールが好き。あとランボルギーニ(多分アヴェンタドールだった気がする)レンタルしてて笑った。

 

前作も数年ごとに度々観たくなる映画だけど、今作もそうなる予感。元気が出る映画。