映画鑑賞と脚本構成
一度でも何か創作をしたことがある人間なら、改めて消費者側に回ったときに作品を見る目が全く変わってしまった経験があると思う。 ここの技術がどうで、ここの演出がどう、みたいなことを思わずにはいられない。世の中の作品とされるものには押し並べて作者がいるんだという当たり前のことすら、なんだか別の意味を持っているように感じたりする。 私もそんなふうな色眼鏡をかけてしまった人間のひとりで、素直な気持ちで作品を楽しむのが難しくなったことを惜しむ気持ちもあれど、作品を別の角度から見る視点が増えたのは嬉しいことだと思う。
映画を観る視点の一つに、脚本術というものが存在する。本屋に行けばたくさんの参考本があって、おそらく大体の本に「脚本構成」についてのパートがある。私は家で映画を観るときに、手元に紙やキーボードを用意して、逐一構成についてのメモを取りながら観るのが癖だ。と言っても始めたのはたかが数年前だし、プロの添削があるわけでもないから完全な自己満足なんだけど。
2時間の映画の脚本構成を大まかに説明するなら、最初の10分で世界観と登場人物の説明が終わって、30分頃に何かが起き、サイドストーリーが進行しつつその映画の見せ場が来て、一旦は勢いが落ち着いたかに見えるけれどもそこから残り30分間ほど状況の急上昇急降下を繰り返して最終的に勝利のフィナーレを迎える、という感じ。 知ってから観てみると多くの作品が本当にその通り作られているのがわかり、それなのにこの世にはこんなにたくさんの映画があって、それぞれに違った良さがあることに驚く。 ハリウッドのアクション映画やピクサー作品は特に構成がわかりやすい。
私は先にも言った通りずぶの素人でしかないので、自分でメモを取った構成が当たっているのか見当外れなのかはわからない。けれども私がこの習慣は私自身の映画体験の一角を確かに豊かにしていると思うし、後で見返すと、自分の言葉で書いたからこそどんな話だったのか一目でわかるのが案外助かっている。
もしやってみたい人がいたら、脚本術参考書を一冊読むとセオリーがわかりやすいと思う。 下記リンクの『SAVE THE CATの法則』に載っている「ブレイク・スナイダー・ビート・シート」という構成のフォーマットがとても良いのでおすすめです。