華麗なるギャツビー(2013)観た

ネタバレあるので注意。

 

宝石のような作品だったな……良い意味でも悪い意味でも。
雰囲気は間違いなくエンタメであるのに、作品としてのまとまりは芸術を目指した印象があって、鑑賞後の感情が独特。とにかく金がかかっているので画がものすごく良い。1920'sのアメリカに存分に浸れる、特にパーティ会場でガーシュウィンが流れるところなんかあまりにもお膳立てされていて最高だった。私はああいう演出に弱すぎる。

ジェイの印象が序盤→中盤→終盤の順でミステリアスな金持ち、奥手な紳士、恋に溺れた狂人というふうに変わっていくのが面白い。それは主に「観戦者」を自覚するニックの視点と同質ではあるのだけど、彼は結局のところ本当の「観戦者」たる私たちとは違って「当事者」であるので、彼に最期の希望を与えることができた。彼の葬式に参加し、彼の死を悼むことができた。ニックが小説家だからギャツビーのことを本にする(それを世に出して真実を伝える可能性がある)という構図は陳腐であまり好ましくないけども、そのおかげで語りが詩的になったのは良い効果だなと思った。

元々はTRPGの1920'sシナリオの参考のために観ようと思っていた程度だったのに、まさかこんなに楽しめるとは想定外だった。とはいえやはり多大に参考になる部分も多くて、特に密造酒やらスピークイージーやらのあたりは雰囲気が知れてよかった。街の様子もよくわかった。

それからこれは余談だけど、本当に個人的な一点で、私はギャツビーにものすごく大きな共感を抱いていて、それがこの映画では彼の滑稽な一面として描かれている。私には彼を笑う気にはなれなかったし、かといって肯定する気にもなれなかった。あまりにも似すぎていて、自嘲することしかできなかった。

心から観てよかった!この映画はたぶんまたいつか観ると思う。